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2010年02月21日

千歳川上流域の現状と,これまでの私たちの活動

 当会は,千歳川王子第4ダム~第1烏柵舞橋間の禁漁解除の方針が明らかとなった2009年秋に,千歳市在住のメンバーが中心となって発足しました.背景には,独立行政法人水産総合研究センターさけますセンターの提言がありました.自分たちが日頃釣りを楽しんでいるその上流に,このようなエリアが残されていたことへの認識の薄さに気づかされると共に,遅まきながら,このエリアの環境をこれ以上悪化させないためにはどうすべきか,と考えてみました.道内でもヤマメ・サクラマス資源を放流に頼っている河川が多い中,サクラマスが自然再生産をしており,釣り人が入らない水域というのは非常に貴重ではないかと考えられるからです.通常は釣り可能なエリアが増えると喜ばしいのが釣り人ですが,ここで生まれ育つヤマメが,下流での釣りの貴重なターゲットとなっている可能性も考えると,あえて環境の変化を来さず,このままの状態で保全するのが良いのではないかと私たちは考えました.

 この区間の禁漁指示は元々,昭和56年から始まっています.当時は王子第4ダム~烏柵舞橋(第1烏柵舞橋の1.5km下流に架かる橋)約3.3kmの区間でした.それが平成19年,実に26年ぶりに範囲の縮小が同委員会でなされ,禁漁区は現在の範囲となりました.以来3年の間,(独)水産総合研究センターさけますセンター千歳事業所において,このエリアのサクラマス・ヤマメ・ブラウントラウトなどに対する調査が行われてきました.それがこの提言です.2009年夏に発表されたこのHPは,
「さけますセンターのサクラマス調査を目的とした禁止措置は残すところ1年となりましたが、行政機関、水産関係団体や釣り団体の理解の下、今後も当該区域の魚類の採捕禁止により、サクラマスの自然再生産を守っていく必要があると考えています。」
と結ばれています.

 この区間の禁漁は,北海道内水面漁場管理委員会が魚類採捕禁止措置を指示していることが根拠となっています.これまで2010年6月1日に解禁されるかどうかは,今年度に開かれる委員会ワーキンググループ(WG)で検討されること,WGの構成メンバーとして,道水産林務部,石狩支庁産業振興部,独立行政法人水産総合研究センター,千歳市などがあることの情報を得ることができました.非公式な形ではありますが,昨年12月には水産総合研究センターさけますセンター千歳事業所においてこれらの関係機関と当会の間で,また今年1月には千歳市内において,これらの諸機関の方々と当会を含めた地元千歳の自然環境関連団体とで情報交換ができました.現在も千歳市と連携して活動を続けています.

 これまで,得られた情報は,以下の通りです.
1)道内水面漁場管理委員会の指示というのは本来,緊急避難的措置であり,長期に継続すべきものではないこと.
2)またその原則から,この指示の継続は規制緩和の流れに逆行すること.
3)同委員会では,あくまで漁業資源としてのサケマスについてのことを検討し,自然環境,サクラマスの自然再生産,ヤマメも含まれる自然環境のサイクル,といった部分は議論の外にあること.
俗に役所の縦割り行政と言われますが,禁漁指示の経緯を考えると,関係機関としての立場からは以上の返答しか得られないのはやむを得ないところかもしれません.現実には同委員会指示の継続は厳しい状況です.
 
 しかし,さけますセンター千歳事業所から極めて明確なデータと,禁漁の継続が望ましいという見解が表明されながら,それを誰も深く検討せず,単純に期限切れと言うだけでこのエリアを解禁するのは拙速であると私たちは考えました.データを元に議論を深め,単純に解禁・禁漁ということだけでなく,魚類の個体数の減少,釣り人の進入などが,他の動植物も含めた環境にどういった影響を与えるか,ということをある程度見通した上で,有効な利用の仕方を模索していくのが本来あるべき筋道と思われます.長期間ではなく1-2年だとしても同委員会指示が延長されれば,市民や釣り人の間で議論を深めることが可能になります.

 この件に関して,当会としては昨年11月から王子第4ダム~第1烏柵舞橋間の禁漁解除反対の署名活動を開始し,現在に至ります.ご協力いただいた署名は,関係諸機関に提出し,市民及び全道・全国からこの問題が注目されている証とさせていただきたく存じます.同時に千歳市にも提出し,市民からの要望があることを同委員会WGでの議論でお伝えしていただく所存です.
 また,同区間については,同委員会指示を半永久的に適用できないと言うことは上記の情報から明らかと思われます.そのため,いずれ指示による禁漁が終了となった場合,何らかのローカルルールを制定してこのエリアを守れないかという検討を,千歳市と連携して現在行っています.当会のみでなく千歳市の自然環境関連の社会教育団体や,自然保護協会などとともに,釣り人の立場以外からもどのような利用法が最も良いかを考え,提言をまとめる方向で協議しています.

 署名は2月一杯で締め切らせていただき,3月の然るべきタイミングで提出を予定しております.まだ若干の日数がございますので,ご協力いただければ幸いです.





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Posted by ふるさとの自然を考える会・web担当 at 21:03 │活動内容

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